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Mystandard

Episode 19 兵藤則子(株式会社サンマリノ パリオフィス アタッシェ・ドゥ・ディレクション)

パリのオフィスから23区の服作りを支える。
グローバルネットワークで顧客に寄り添うサンマリノグループ

兵藤則子(ひょうどうのりこ):SanMarino Co., Ltd. Paris Officeにてアタッシェ・ドゥ・ディレクション(Attachée de Direction)を務める。日本のアパレル会社でパタンナーとして働いた後、1996年に渡仏。パリにてバイイングオフィスやアパレルブランド勤務を経て、2007年にサンマリノのパリオフィス立ち上げに携わり、現在に至る。

 



23区の25周年をセレブレートする特別インタビューシリーズ「My standard 25th」。第19回目にお迎えするのは、繊維専門商社「サンマリノ」のパリオフィスから23区の服作りを支える兵藤則子さん。アタッシェ・ドゥ・ディレクション」というお仕事やパリでの生活、23区との馴れ初めについてうかがいました。


 

アタッシェ・ドゥ・ディレクションという仕事

 

ー 「アタッシェ・ドゥ・ディレクション」というお仕事について教えてください。

パリオフィス設立時は、ヨーロッパ、特にフランスのブランドからの企画を、国外の生産へ受け渡す業務がメインでした。当時はまだ海外生産に慣れてないブランドも多く、デザイナーたちと素材やパターン、サンプル、製品などについて、その都度、会って打ち合わせをしており、“常にスタンバイ”状態でいられる体制作りが必要不可欠でした。最近は海外生産への意識変化や、デジタルテクノロジーの浸透に伴い、効率の良い現地直結型にシフトし、サンマリノグループの中国や香港の拠点が直接お手伝いさせていただいています。

ですので、現在のパリオフィスの「アタッシェ・ドゥ・ディレクション」としての仕事は、フランスを中心にヨーロッパにおけるマーケティングと情報収集、 原料メーカー、ブランド、デザイナーなどとプログラム開発や交渉をしたり、新規開拓をしたりといった業務が中心です。少し変わったところでは、企画の初期段階でデザインソースやインスピレーションを求めて、ヨーロッパや北アフリカ、ロシアなどへの出張のアレンジも。“サンマリノ・トラベル”という異名をいただいています(笑)。

ー パリで働いていて、日本と違うなと感じることは何ですか?

バカンス! 最近は会社ごと閉めること事は少なくなりましたが、夏休みはみんな3週間くらい位取ります。日本では考えにくいですが、それでも仕事は廻るというのが、フランスらしいですよね。 他には、個人を尊重するカルチャーが好きです。意見が違っていても、変に真ん中をとって中立案でまとめたりせず「僕はそう考える、私はこう思う」と率直に意見を言いあい、それを楽しめることでしょうか。

 

サンマリノ社について

 


23区×TOILE DE JOUYのコラボレーション製品と一緒に

 

ー 世界に拠点を持つサンマリノグループについて教えてください。

繊維商社として、アパレル業界に向け、情報、企画、技術、製造、またそれに付帯するサービスを提供しています。東京に本社を構え、中国、香港、パリ、ミラノ、韓国に拠点があり、各地域でのローカルな活動と、グループ間で連動した幅広い活動を両立しています。マーケットの動向やトレンドを世界から収集&分析し、顧客ブランドの傾向に合わせて、素材やテクニック、サンプルを具体的に提案させていただき、市場に展開される製品が滞りなく納品されるように管理しています。

現在は、2019夏物の企画が始まるタイミングですが、数カ月前から市場をリサーチし、それぞれのブランドに向けて的確な素材やサンプルを提案できるように準備しているところです。サンマリノは、社員が現場に出向く出張の頻度が高いのが特徴的です。原料場から製品の生産工場まで、自分たちの目で見て業務に反映させるように心がけています。

飛行機の機内誌に航空路線のマップがありますよね? サンマリノグループ社員の出張を世界地図に記したら、数多くの線がアジア、ヨーロッパ、アメリカと飛び交うことになると思います。糸が紡がれて生地になっていくように、糸のように張り巡らされたそれらの線の重なりが、製品やプロジェクトに発展しているのだと考えています。時々絡んじゃったり、切れちゃったりすることもありますが(笑)。そして、「繊維商社」と言っても、食品やコスメの輸出入(当時、物流担当者を随分悩ませました…)といった、新しいフィールドに飛び込む積極性も持ち合わせています。

 

23区との関わりについて

 

ー 23区と一緒に仕事をするようになった頃のお話をお聞かせください。

23区ブランドの立ち上げ時から、弊社の営業(現:貞永明彦社長)と企画(現:飯野亜美マテリアルアドバイザー)のペアーが担当させていただいていたと聞いております。いろいろな秘話もあるようですが(笑)、23区とのパートナーシップはその頃から今日に繋がっています。

 


ロシア出張(サンクトペテルブルグ)の一コマ。サンマリノ東京の23区を担当する中核メンバーと兵藤さん

 

私自身の関わりでいうと、2010年にベルギーリネンを取り扱ったのが本格的なスタートでした。ベルギーリネンメーカーのリサーチ依頼を受け模索していく中で、リベコ社にたどり着きました。やはり、「23区のシャツ」という代名詞を背負う責任感はズッシリと重いものでした。何とか無事にワンシーズン乗り切っていこうという思いから始まり、今年でもう8年目。こんなに長期間にわたるコラボレーションに発展したのはとても嬉しい限りです。

ー 23区の服作りにどのように携わっていらっしゃるのでしょうか? 具体的に教えてください。

企画の初期の段階で毎シーズンのテーマやターゲットをヒアリングし、企画制作を行い、その後に製品化、そして納品までグループ各社が関わっていきます。たとえば、先ほどのベルギーリネンというターゲットからリベコ社とのコラボレーションが生まれたり、エスニックのモチーフというテーマでは、スペイン出張の手配から、プリントや刺繍の製品化までを提供したりしています。

ー 印象的なエピソードがあればお聞かせください。

2014年に、麦倉チーフとスイスのバーゼルに行ったことは印象的でした。本来の目的は、フランス・アルザス地方の生地メーカーの視察だったのですが、地理的にフランス、ドイツ、スイスに隣接するバーゼルを拠点にしました。バーゼルは芸術性に富んだ街で、個人的にも毎年訪れる街ということもあり、やや強引にお誘いしました(笑)。市内を散策して街並みを楽しんでもらい、郊外のバイエラーやドイツのヴィトラまで足をのばしました。麦倉チーフの“周波数”を感知できたように思えた、とても貴重な出張となりました。

 



スイス出張(サンガレン)でのミーティングの様子(上)と足をのばして立ち寄ったドイツのヴィトラハウス(下)

 

2015年のスペイン出張も印象深いです。エスニック調の刺繍やモチーフのリサーチリクエストをいただき、デザインソースを求めて23区と弊社担当チームでアルハンブラ宮殿に行きました。イベリア半島最後のイスラム政権時代に建設されたスペイン・イスラム芸術の最高傑作で、アラベスク模様や天井の鍾乳石の装飾など、言葉では表現しがたい洗練されたモチーフで埋め尽くされた宮殿内を、時間をかけてゆっくり見て回りました。みなさん、真剣そのものでした。他にも市内を巡ったり、陶器のアトリエに行ったりと、現地の方との出会いを通して、異文化や歴史に触れることに大きな価値があると感じました。

 


スペイン出張で訪れたアルハンブラ宮殿

 

新しい国や場所に23区チームと一緒に行く機会が多いのですが、オープンマインドで「違い」を楽しむ姿勢が印象的です。その後、店頭で23区の製品を見て「すごいな~」と感じるのは、それぞれのテーマが23区の表情になって、お客様と会話している感じが伝わってくるところです。

 

パリ生活とインスピレーションの源

 

ー パリの女性のどんなところが素敵だと感じますか?

とても難しいですが…フランスでは、友人に「そのシャツいいね」と言った時、「ふふ、モノプリ(スーパー)で買ったの」とやや自慢げな答えが返ってくることが多々あります。パリジェンヌって、ラグジュアリー志向ではなく、自然体で自分流を大切にする。そういう姿勢が素敵だと思います。

ー 今、パリのファッションシーンで流行っているもの/ことは?

ズバリ、「日本」! 和ものや、便利&機能グッズ、フレンチレストランのシェフが日本人だったり。日本への旅行者の増加や、仕事上の取引などで日本への関心や信頼が高いと感じます。トレンド性もあると思いますが、私たちの前の世代の方々が誠実に開拓された実績だと思うんです。私たちは、次世代が継承できるようにすることが使命ですね。

ー プライベートはどのように過ごされていますか?

ドライブをしたり森林浴をしたり。小旅行やヨガをして休日を過ごします。お天気を見ながら、気分次第で車で出かけたり、地方の友人に会いに行くついでに遠出をしたり。私は自然の中にいることが心地良く、四季の移り変わりや水面に反射する光、太陽が空を染めあげる神秘的な色合いに感激したりしています。

 


ロンドン・サーペンティンギャラリー

 

他には、建築が好きでよく見に行きます。コルビジェ、シャルロット・ぺリアンやアールトの1900年前半の作品や、ヘルツォーク&ド・ムーロンの近年の建築、ロンドンのサーペンティン・ギャラリーで行われる、建築家やアーテイストによるサマーハウスは毎年のように訪れています。改めて考えてみると、私は相反する2極を併せ持つエスプリに刺激を受けます。直線と曲線、美と機能性、大胆と緻密…。デザイン画から洋服へ、もしくはプロジェクトの草案から実現へ、建築のブループリントが3Dへ変化していくのに通ずるところに惹かれるのかもしれません。

ー 25周年を迎えた23区へメッセージをお願いします。

ブラボー! 四半世紀、常に第一線で活躍されつづけるというのは、本当に素晴らしいと思います。これからも長く続く23区の歴史に、微力ですが私たちも関わっていけるよう願っています!

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