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Mystandard

Episode 15 松本千織(松屋銀座店 23区店長)

伝統と最先端の2つの顔を持つ銀座で
最高のおもてなしを!

松本千織(まつもと ちおり):松屋銀座店 23区店長。2006年に入社。入社以来、同店で12年間勤務。2012年、同店店長に就き、現在に至る。
photo: Hiromi Nagatomo / interview & text: Kana Yamamoto / edit: Yuki Ishida

 



23区の25周年をセレブレートする特別インタビューシリーズ「My standard 25th」。第15回目にお迎えするのは、松屋銀座23区にて勤続12年となる松本千織店長。オシャレな着こなしが魅力の松本店長が大切しているのは、人とのつながり。“銀座のおもてなし術”をご指南いただきました。


 

伝統と最先端が共存する街「銀座」

 


落ち着いた色合いの中に上品な華やかさが春を彩るラインナップ

 

ー 2020年に向け、東京の街は目まぐるしく変化しています。ここ銀座は、特にそれを感じる街の一つではないでしょうか?

そうですね。いつの時代も、古き良きものと最先端をいくもの…それらが入り混じって「銀座」という街の魅力を作ってきたんじゃないかと思います。私は2006年に入社して以来ずっと「松屋銀座23区」に勤務していますが、12年前にこの街に来た時も新鮮さを感じたのを覚えています。

街は変わっても、松屋銀座23区のアットホームな雰囲気はそのままで、これが「銀座のおもてなし」だと感じていただけるように日々努めています。

ー どのようにアットホームな空気感を作っているのですか?

「松屋銀座」という百貨店がそもそも持っている雰囲気が大きいと思います。社員さんも本当に優しい方ばかりで、良い意味で、お客様と家族のような関係を築いてきた百貨店なんですね。そういう文化が、この雰囲気を作っているのだと思います。

 

 

 

ー 一方、最先端といえば、ファッション界ではネット通販が一般的になってきました。

個人的には、ネットでお洋服が買えるようになったのは良いことだと思います。お客様にとって効率的ですものね。

じゃあ、なぜお店に足をわざわざ運ぶのか。もちろん、洋服を買うという目的がありますが、もしかすると「接客」が癒やしになっているんじゃないかなって思うんです。

「服」あっての我々なのですが、たとえ服がなくても、この人に会いに行こうと思ってもらえるものを提供することで、ブランドの発展に貢献できるんじゃないかと考えています。人と人のつながりを味わえるのは店頭でこそですし、接客のクオリティで、銀座の老舗店を目指したいです。

ネット通販で購入されている方も、ぜひ松屋銀座23区に遊びに来ていただきたいですね。ネットでは得られない「イメージに合わせた着方」もお教えできます。そういう楽しさも全部ひっくるめてのショッピング体験ができる場所だと自負しております。

 

こだわりのスタイリングでワンランク上の着こなしを提供する

 


銀座松屋で今シーズン売れ筋のボーダーニット

 

ー その「着方」について、もう少し教えてください。

お洋服を着た時、袖のふくらみがどう出るかは、お客様それぞれで異なりますし、似合う形も違います。お客様がどういうイメージを求めているのかをうかがって、イメージ通りになる着方をアドバイスさせていただいております。お一人おひとりにぴったりな着方が実はあるんです。

ー 専属スタイリストのような付加価値ですね。

そうですね。ですから接客の際は、とことんお客様と向き合うよう心がけています。マニュアルに書かれた情報をなぞるのではなく、自分の言葉で想いを伝えるというのが大事かなって思うんです。小柄なお客様は、「ワイドパンツが似合わない」と思われがちですが、もしお好きならば、似合うスタイリングや着方があるので、それをお伝えしたいんです。ちょっとしたことなんですよ。ウエストの位置を少し高くしてハイウェストで着てみると、昔の映画から出てきたようなオシャレで可愛い着こなしになったりします。その人のベストなウエスト位置っていうのは、やはり店頭でしかお伝えできないんです。

ー となると、試着は欠かせませんね。

ええ、お時間のあるお客様にはなるべく着てもらうようにしています。そして、お客様が試着室から出られた時に、シルエットのどこに目がいくかを観察します。ウエストなのか、肩なのか。肩の場合は「サイズが小さいのかな?」と推測することができますね。クルっと回ってくれたら「このラインを気に入っていらっしゃるんだな」とか。お客様の目線が合図なんです。

そして、お客様に言われる前にアドバイスをします。わざわざお客様に「どうですか?」と聞いて、「あ、ここが少し張っているんですけど」と言わせるのって嫌ですよね。お洋服って、自分の着心地に加えて、他の人から見た時に、どれだけ可愛く見えるかも大事。そこで、私たちの意見がお客様にとって一番得たい情報ではないかって思うんです。

 

スタッフの心得三ケ条

 

 

ー 銀座のおもてなしを実現するために、スタイリストと共有されている心得を教えてください。

1つ目は「親身になること」。真剣にお客様に向き合わないと、本質に気が付くことができない。本質に気が付かないと、「接客」の歯車は回らないと思うんです。

ー 境界線の向こうにあるコミュニケーションを心がけていらっしゃるのでしょうか?

そうかもしれないですね。もしかしたら、それが私がこれまでこの仕事を続けてきた理由かもしれません。接客って、人と関わらないとできませんから。気持ちが入らないと接客じゃないと思うんです。そこが「本当の接客」かどうかの境界線だと思います。

ー 「その2」は何でしょう?

スタッフに意見を押し付けないこと。店長として、のびのびと仕事ができる環境を作りたいと日々思っています。予算達成や推しアイテムの販売といった「ショップの目標」に対して、みんな同じ方向を向いてはいるけれど、その売り方は個々で考えてもらうようにしています。結局、現場に出ないとわからないし、実感できないんです。自分の思いがお客様に伝わったかどうかがわかるのは“現場”でだけ。だから、みんなにもその経験を積んでほしいなって思うんです。

ー 「その3」を教えてください。

「店頭を綺麗に!」。店頭空間は、23区の世界観をお伝えするすごく大事な場所。一瞬で通り過ぎるお客様のためにも、ブランドとして表現したい空間をキープするようにしています。商品の陳列も、みんなですばやく戻すように心がけています。人もお店も第一印象は重要ですし、商品もちゃんと陳列されている方が見やすいですから。

 

作り手の想いが詰まったブランド

 

 

ー 23区は、12年間勤務する松本さんにとってどういうブランドですか?

流行にとらわれないベーシックなデザインや素材の良さはさることながら、、一番は、作り手の想いが詰まったブランドだと思っています。デザインに芯がある。そういう23区の良さを私たちが伝える。そのチームワークがしっかりとしているブランドですね。

ー 素材選びやディテールに想いが表れているんですね。

ええ。それを、お客様に言っていただくことが多いんです。「絶対に間違いのないブランド」であると。私たちが伝えたいことでもあるので嬉しいですよね。

ー 23区で特に好きなアイテムはありますか?

綿素材のシャツや、ブラウスが好きです。特にカンクリーニのシャツは、着た時のディテールがまったく違います。細かく言うと、ボタンなどの付属ディテールや袖口の締め付け具合、カフスのところに入っているちょっとしたギャザーなど、一見、普通のシャツに見えますが、袖を通すとその違いがわかります。しかも、襟の立ち方などは、着方によってイメージを変えられる。それができるのが、23区のシャツ作りが他と一線を画しているところだと思います。

ー 着方のヒントはどのようなところから?

半期に一度の麦倉チーフによるシーンズンイメージの研修や、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)のチーフディレクター、萩原(恵子)さんの、マネキンの着せ付けや陳列がとても参考になっています。今年の着方を教えてくれるだけでなく、萩原さんならではの素敵な着せ付けをしてくれるのですが、それがまたオシャレで。私の接客のお手本です。

ー 最後に、25周年記念して23区へメッセージをお願いします。

これからも変わらず、作り手の想いや世界観を表現するブランドであり、スタイリストであってほしい。軸がブレることなくやっていくことが、これからの23区につながっていくと思います。私自身、このブランドに携われて本当によかったと思っています。

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